東京都美術館にて『没後50年 藤田嗣治展』開催

2018/08/27 展覧会情報

7月31日から10月8日まで、東京都美術館にて『没後50年 藤田嗣治展』が開催されています。展覧会では国内外から多くの作品が集まり、藤田の代名詞である「乳白色の裸婦」の名作のみならず、「乳白色」に至るまでの若き日の模索から、パリで名声を得た後の中南米旅行や日本での作品、パリに戻った晩年の制作まで、藤田の生涯をたどることのできる大回顧展となっています。

藤田嗣治(1886-1968)は1913年の渡仏直後、第一次世界大戦に遭遇するとパリに残って自身の絵画を模索し、1920年代初頭に「乳白色」の下地と繊細な線描による裸婦像が高く評価され、画家として名声を得ました。しかし世界大恐慌が起きた1929年頃から、藤田は「乳白色」から一変した濃厚な色彩をもつ画風へと変化し、さらにパリを離れて中南米旅行に出て、各地の異文化の人々を描きます。その後、藤田はパリに戻るものの第二次世界大戦が起きると日本に帰国し、≪アッツ島玉砕≫など「作戦記録画」を制作しますが、戦後になると戦争協力の責任を糾弾され、パリに戻ります。そしてフランス国籍の取得、カトリックの洗礼を受けた晩年の藤田は、無垢な子どもたちやパリの古い町並み、または宗教画をテーマとした作品を多く手がけました。

時代に翻弄されながらも、藤田はひたむきに絵画への情熱を絶やすことのなく描き続け、その独自の芸術は世界中に知れ渡っています。

そして藤田嗣治は今日でも高く評価され、その作品はマーケットでも注目されており、その価値もますます上がっています。たとえば、「乳白色の裸婦」を描いた≪Nu Au Chat(裸婦と猫)≫(1930年作)は2014年時点で2億円の売却額がついていましたが、2016年の海外オークションではおよそ5億7千万円で落札され、国内のみならず国外での関心の高さもうかがえます。そしてアイアートでも多くの藤田作品を取り扱っており、過去オークションでは≪猫と少女≫(1956年)が5000万円、≪猫≫(1928年)が4600万円、≪Nu Allonge(横たわる裸婦)≫(1927年)が4000万円で落札されています。

没後50年を過ぎてもなお、藤田嗣治の評価は高まるばかりです。美術館だけでなく、ぜひオークションなどのマーケットにも足を運んで、まだ多くの人に知られていない藤田の新たな作品をご覧になってください。

〈次回オークションのお報せ〉
秋季特別オークション
開催日:2018年10月13日(土曜日)
会場:東京都港区新橋5-14-10 新橋スクエアビル3F
カタログ発送:9月20日(木)~