2019/01/09
明けましておめでとうございます。皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。本年も倍旧のお引き立ての程宜しくお願い申し上げます。
さて、今年2019年も多くの展覧会が開催中・予定されており、東京では現在、『ルーベンス展』(国立西洋美術館::1月20日㈰まで)と、『フェルメール展』(上野の森美術館:2月3日㈰まで)が開催されています。ルーベンス展は「王たちの画家にして、画家たちの王」と呼ばれた、17世紀バロック絵画の巨匠ルーベンス(1577-1640)の、若い頃のイタリア留学に注目した、近年では最大規模のルーベンス展になります。一方フェルメール展では、フェルメール(1632-1675)の現存作品わずか35点のうち日本初公開作を含む9点が出品され、そのほかにもフェルメール周辺の画家の作品も展示し、17世紀オランダ黄金時代の絵画を楽しむことができます。
現在のベルギー・アントウェルペンに工房をもったルーベンスと、現在のオランダ・デルフト出身のフェルメールは、同じ17世紀に近い地域で活躍していますが、その作風は異なります。ルーベンスは歴史や神話、聖書の物語を、華麗で壮大に描いた大画面の作品が多いですが、フェルメールは日常のありのままの風景を小さな画面に細やかに描いています。この違いは、当時それぞれが活躍した国や地域で好まれた絵画の違いにありました。
スペインやフランスなど国王や教会が支配したヨーロッパ諸国では、宮廷や教会に飾るのにふさわしい大規模で壮麗な絵画が流行し、ルーベンスは王侯の依頼を受けて制作しました。一方、1609年に共和国として独立したオランダは、貿易によって経済大国となり、本格的な市民社会のもとでオランダ黄金時代ともいわれる繁栄を迎えます。絵画も一般市民の間に広がり、主題には身近で親しみやすい肖像画や静物、風景、風俗画が選ばれ、手元に置きやすい小作品が好まれました。ちなみに商業に強かったオランダ人にとって、絵画は芸術作品であると同時に取引や投機の対象ともなる資産ともする、現代とも通じる考えがあったそうです。
現在上野では、ルーベンスとフェルメールという、異なる領域で活躍した17世紀絵画を代表する巨匠の作品を同時に見ることができます。どちらかの展覧会を訪れるだけでなく巨匠2人の作品を見比べることで、それぞれの特色や違いなどさらに楽しむことができ、新たな発見もあるのかもしれません。
〈次回オークションのお報せ〉
第56回オークション
■開催日:2019年 2月23日(土)
■下見会:
2月20日(水)10:00 – 18:00
2月21日(木)10:00 – 18:00
2月22日(金)10:00 – 15:00
■会場:東京都港区新橋5-14-10 新橋スクエアビル3F