2018/09/25
先日9月2日、ブラジル・リオデジャネイロにあったブラジル国立博物館が火災によりほぼ全焼したニュースが流れました。死傷者の報告はないものの、19世紀に建造された建物は屋根が焼け落ち、2000万点を超える貴重な文化財の多くが消失したとみられています。
ブラジル国立博物館は1818年にポルトガル王ジョアン6世によって創立されたことに始まり、南米の自然史・人類学の資料収蔵の拠点でした。博物館の目玉として、ブラジル国内で発見された最古の人骨「ルチア」や、重さ5.3トンの世界最大級の隕石「ベンデゴ」などがありましたが、それらも焼損したとみられます。
南米大陸は紀元前10,000年頃よりモンゴロイドが到来し、アマゾン川流域などブラジルや南米各地に先住民族が定住し、独自の文化を育んできました。
1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達すると、16世紀からはブラジルはポルトガルの植民地となります。多くのヨーロッパ人博物学者がブラジル各地を探検し、採集された動植物はブラジル国立博物館のコレクションとなりました。そして1822年にブラジル帝国としてポルトガルから独立すると、ブラジル皇帝によって南米先住民族の文化財や、世界各地の美術品も集められました。とくに先住民族のコレクションは、ペルーのインカ帝国や地上絵で有名なナスカ文化など、コロンブス到達以前の南米文明の遺品や、近代化の中で廃れていったブラジル先住民族の伝統的な染織や羽飾り、陶器など貴重な品々でした。
これらの収蔵品の焼失を受けて、Wikipediaがブラジル国立博物館の収蔵品の写真を持つ人に、Wikipedia Commonsへの写真のアップロードを呼びかけています。保存の難しい文化財などを、写真や映像などで記録保存をするデジタル・アーカイブという活動が日本を含め世界中の博物館などで行われていますが、今回の呼びかけも、失われた文化資源の記憶を少しでも後世に伝えようとしています。
今回の火事では、資金不足による建物の老朽化や防災設備の不備なども指摘され、未然に事故を防げたことも言われています。貴重な資料を収集・保管し、公開と調査研究の場となることを目的とする博物館に、今後このような事故が起きないことを願うばかりです。
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