2018/10/02
10月4日は19世紀フランスの画家、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~1875)の誕生日です。ミレーは農民の日常の姿を描いた「農民画」でとくに知られ、代表作≪落ち穂拾い≫や≪種まく人≫などは日本でも有名です。
ミレーはフランス・ノルマンディー地方の農家に生まれ、少年時代から絵画の才能を見出され、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)で学び、パリで肖像画や初期の農民画などを描きました。しかし1849年にパリでコレラが流行すると、ミレーは友人に誘われてパリから離れたバルビゾン村へと移り住みます。バルビゾンにはすでに多くの画家が住んでおり、近代都市のパリとは異なる、自然豊かな森や田園風景を描く画家たちはバルビゾン派と呼ばれました。ミレーもまたその一員として、幼い頃から慣れ親しんでいた農民の姿を描いた傑作を数多く残します。
19世紀中頃のフランス画壇は、神話や歴史的事件を主題とした理想化された絵画を最も高く評価しており、現実的な風景、さらに貧しい農民の様子を描くことはスキャンダラスなことでもありました。しかしバルビゾン派のありのままの風景や人物を描く姿勢は、印象派など次の世代の画家に影響を与え、後期印象派のゴッホはミレーの作品を数多く模写しています。
日本では、1876年(明治9年)にバルビゾン派の影響を受けたイタリア人画家・フォンタネージが工部美術学校の教授として来日すると、西洋絵画の教材としてバルビゾン派画家の模写が行われました。そして黒田清輝などの日本人画家がバルビゾン派ゆかりの土地を訪れ、また文学界からも夏目漱石などがミレーを紹介し、戦後には山梨県立美術館がミレー≪種まく人≫を購入するなど、ミレーやバルビゾン派は日本に深く親しまれる絵画であるといえるでしょう。
アイアートでは、来週10月13日㈯に行われる秋季特別オークションにて、ミレーをバルビゾン移住へと誘ったシャルル=エミール・ジャックなど、バルビゾン派の画家の作品を4点出品いたします。いずれも森や田園の風景と、そこで暮らす羊飼いや農民たちを描き、バルビゾンの画家たちが愛した豊かな自然とのどかな農村をありありと伝えています。
またオークションに先立ち、10月10日㈬~12日㈮の期間で下見会を開催いたします。ご紹介したバルビゾン派の画家たちの作品に他に、片岡球子や加山又造、棟方志功、ベルナール・ビュッフェなどの絵画作品や、浮世絵や工芸品、宝飾など、オークション全出品作品を展示いたします。
ぜひ皆様のご来場をお待ちしております。
〈次回オークションのお報せ〉
秋季特別オークション
■開催日:2018年10月13日(土曜日) 14:00~
■下見会:
10月10日(水) 10:00-18:00
10月11日(木) 10:00-18:00
10月12日(金) 10:00-15:00
■会場:東京都港区新橋5-14-10 新橋スクエアビル3F