LOT.207
西郷 南洲
書「莫道風雲」
[掲載文献]:『敬天愛人 第四十一号』P173 掲載(公益財団法人西郷南洲顕彰会:2023年9月24日発行)
〈読み〉
莫道風雲際會難
金剛山下臥龍蟠
天皇一夜蒙塵夢
南木繁邊御枕安
〈読み下し〉
道(い)う莫(なか)れ風雲(ふううん)相会(さいかい)難(かた)しと、
金剛山下(こんごうさんか)臥龍(がりゅう)蟠(わだかま)る。
天皇一夜(てんのういちや)蒙塵(もうじん)の夢、
楠木(なんぼく)繁(しげ)き辺(あた)り御枕(ぎょしん)安(やす)し。
〈口語訳〉
竜が雲を得、虎が風を得るように明主と賢臣が出会うことは難しいなどと言ってはならない。
金剛山の麓に臥竜が伏して蟠っている。
後醍醐天皇が都を離れたある夜、楠の生い茂った枝の下で眠る夢をご覧になってから、
臥竜即ち楠公は召し出され、天皇の御心を安じ奉ったのである。