LOT.171
François-Auguste-René Rodin (オーギュスト・ロダン)
Idylle d'Ixelles (イクセルの牧歌)
[来歴]:
Musee Rodin (パリ)
現代彫刻センター (東京 / 1983年4月に上記より取得)
個人蔵 (日本)
〈作品について〉
1871 年から1877 年のベルギー滞在中、ロダンはブリュッセルのイクセル地区に居を構えた。ブリュッセルの名所としても有名なのが、1619 年にジェローム・デュケノワによって制作された「Manneken Pis ( 小便小僧)」であり、現在でもイベントによっては衣装を着せられるなど、人々から愛されているこのブロンズ像は、当時のロダンも目にしたはずである。
オリジナル作品の制作年は1883-1884 年とされており、この時期はローズという妻を持ちながらも、後に恋人となるカミーユ・クローデルと出会うタイミングでもあるが、ロダンがベルギー滞在中に見た「Manneken Pis」のイメージは本作品「Idylle d'Ixelles ( イクセルの牧歌)」にもいかされていることが想像される。デュケノワの「Manneken Pis」を想起させる男児が、頭部にリボンを巻き、羽の生やした天使に抱きつく。タイトルにある「idylle」は「牧歌」という意味の他、「純愛」の意味も持つが、本作品は様々な愛のカタチに苦悩したロダンの純粋な一面を見せてくれるようでもある。